お母さんの「ちょっとだけ掃除」
第1章「こんまと家族の日常」
お母さんは「ちょっとだけ掃除してくるけぇね」と言った。こんまは時計を見て、すぐ終わると思った。
ところが、テーブルを拭いたら棚のほこりが気になり、棚を拭いたら床の小さな紙くずが気になり、とうとう洗濯物の片づけまで始まった。こんまも張り切って手伝った。
かごから服を一枚取り出しては、広げて「これは、だれの?」と確かめる。そのたびに、たたんだ服の山がくずれていく。
「こんま、それは片づけとるんじゃのうて、広げとるんよ」
お母さんが笑った。「ちょっとだけ」は、まだまだ終わりそうにない。